

これはミレラの方舟です
船の部分はモザイクのように
カラフルに彩られています
白い壁の家には煙突があり
心地のよい音楽といい匂いの煙が
ゆらゆらと出ています
方舟の持ち主はミレラという名前の女の人
この方舟はいつへでもどこへでも
往くことができて
彼女はこの中で音楽と一緒に暮らしています
ミレラさんの仕事はおやつを作ること
方舟には広いキッチンが備えられ
移動販売のお菓子屋さんになるんです
ここで彼女は
見えたり聞こえたりするものに想いを寄せた
お菓子を作っています
方舟の中は音楽にあふれていて
ミレラさんはおやつに合わせた音を
お菓子に加えます
例えばクッキーなら
粉やバターや砂糖と一緒にいろんな音を
生地に混ぜ込みます
するとどうでしょう
焼き上がったお菓子から
素敵なメロディーが聴こえてくるんです
さて この方舟
今日は煙突から音楽だけが流れてきます
ミレラさんはお菓子を焼いていない様子
「私 森へ行きたいわ 海も見たいし」
どうやら彼女は旅の計画を立てているようです
旅先はどこのまち?
いつのまちかな?
ミレラさんは
大きな大きな地図を覗き込んで思案中
半日くらい行き先を悩んで
パッと飛び立つのがお決まりのスタイル
きっと今晩
時空を超える旅へと出発です




ある晩
森と海を目指して旅に出たミレラ
いつものように悩んでも
行きたい先が見つからず
ここは方舟に任せてみました
「ねえ、方舟。海が見える森に連れて行って」

ぐっすり眠って目を覚ましたミレラ
方舟は空をぷかぷかと飛行中
窓を開けると下は森
目線の先には海が広がっています
方舟の周りにカラフルな小鳥たちがやってきて
しばらく一緒に遊覧飛行
ピピピ ククク ルルル
ククク チチチ ホホホ
小鳥たちは楽しそうに
うたったりおしゃべりしたり
歌声に合わせて
空も色付いていくみたい
「ここで降りましょう」
ミレラはしばらく
この森に暮らすことに決めました

方舟を降ろしてミレラが外に出ると
1匹の鹿がやってきて
ここは「フォルミストですよ」と
知らせてくれました
鹿との出会いはほんの束の間でしたが
とても静かで神秘的な時間でした
ミレラはフォルミストの森を散歩
ロロロ コロ ルルル クル
さっきの小鳥がやってきて
しばらく一緒に森探索
方舟に戻ったミレラはお菓子をつくり始めました
小鳥たちの歌声をイメージした
コロコロとしたおやつです
煙突からは甘い香りと音楽が
ゆらゆら流れています




