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アイウエオ
カキクケコ
これは おかしな ものがたり
どこへでも 自由に往ける方舟
そのなかで女の人がひとり
音楽と一緒に暮らしています
名前は ミレラ
仕事はおやつをつくること
この音やあの音もくわえて
奏でるように
おやつをつくっています

 

 

 

『海へ』

・

フォルミストの森のことをだいたい覚えてきた頃

ミレラは「あらー?」と気がつきました

「私、まだ海へ行ってないかも」

そうですよ

方舟で海の上を飛行して

浜辺をうっとり眺めてはいましたが

ミレラはまだ

海へ行ってみたことはないのです

ほらほら 早く海へ行かなくっちゃ

 

さっそく道案内の鹿を呼んで

浜辺へ連れて行ってもらいました

・

波打ち際の水はとてもきれいで

小さなサカナたちが列をなして

泳いでいるのが見えました

繰り返す波のリズムに呼吸を合わせて

ミレラはサカナたちを驚かせないように

そっと右足を そして

左足も水に浸けました

 

 

『こどもサカナとおとなサカナ』

・

サカナたちの

無邪気な様子をじっと見ていると

おやおや?

小さい小さなサカナたちは

みんなキラキラ

赤や黄色の飾りを身に付けて

着飾っている感じ

「こどもサカナのお祭りかな」

大きい小さなサカナたちもいます

「こっちは おとなのサカナだな」

ミレラは楽しくなって

顔をぐっと水面に近づけました

鼻に海水がくっついてくるくらい

おとなのサカナたちの泳ぎ方はとても独特で

からだをゆらゆらさせて

まるで踊っているようです

波の音もなんだか

明るい調子に聞こえてきました

「なんだ なんだ?」

ミレラが不思議に思ったその時

プクプクプー!

水面にたくさんの気泡が浮かび上がってきました

 

 

 

パレード

再生

音符を押すとおやつの曲が流れます
音量に気をつけてお楽しみください

 

『小瓶が流れてきたこと』

・

びっくりしたミレラ

慌てて顔を上げました

お祭りのパレードをしてたのかなと自問自答

泡が消えた後

おサカナたちはもういませんでした

代わりに コルクで栓をされた

小さなガラスの小瓶が漂っています

中にどうやら手紙が入っているようで

ミレラは小瓶を拾って

コルクの栓を開けてみました

・

“ このあたりに 物語が待っています ”

・

と書かれた紙と一緒に

青色で描かれた

地図のようなものが入っていました

・

ミレラは鹿の背中に乗せてもらい

急いで方舟に帰りました

(いつものゆっくり歩く鹿も

事情を察して走ってくれました)

そして

「今すぐ海へ行きましょう!」

方舟を稼働させると

大海原へと出発しました

 

 

『海のうえ空のした』

・

青い地図を左手に 右手には望遠鏡

探検隊さながらのミレラは

とても勇しくて

方舟はかえって冷静です

小瓶が流れてきたと思われる方に向かって

飛行を続けます

・

それにしてもなんてきれいな景色

水平線ってこんなに青いんだな

ミレラは方舟を着水させました

海の匂いのする風と

空の色をした波が相まって見えて

ミレラは スーッと

穏やかな気持ちを取り戻しました

海と空を同時に感じられることに

うっとりです

・

この海のどこかにあるという物語

海だけの秘密なのかな

空はもちろん知っているでしょう

ミレラはもう一度手紙を読みました

・

“ このあたりに 物語が待っています ”

・

 

 

青いひみつ

再生

音符を押すとおやつの曲が流れます
音量に気をつけてお楽しみください

 

『フォルミストの海のこと』

・

フォルミストの海のことで

頭も胸もいっぱい

船のように水平線を漂う方舟の中で

ミレラは日記を書きました

浜辺での小さなサカナたちが可愛かったこと

そして愉快な列をなしていたこと

今 こうして

海と空を思い切り感じていること

そしてどこかに秘密の物語があるということ

・

それから

陽気な音を合わせたサカナみたいなパイと

静かな音を合わせた

青いクッキーを焼きました

 

 

 

 

・

おしまい

・